相続登記の期限に関するQ&A

文責:所長 弁護士 伊藤美穂

最終更新日:2024年06月26日

Q相続登記の期限はいつまでですか?

A

 ⑴ 令和6年4月1日から相続登記が義務化されたため、不動産の所有権を相続(遺言も含みます)で取得した場合、その所有権を取得したことを知った日から、3年以内に相続登記の申請を行わなければなりません。

 ⑵ 遺産分割が成立した場合、これによって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に相続登記をしなければなりません。

 ⑶ 令和6年3月31日以前の相続で不動産を取得した場合は、上記⑴⑵か、遅くとも相続登記の義務化がスタートして3年以内(令和9年3月31日まで)には相続登記をする必要があります。

 

 正当な理由なく義務に違反した場合、10万円以内の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となります。

Q3年以内に相続登記ができないことについて、正当な理由とはどのようなものですか?

A

 たとえば、相続人が極めて多数にのぼり、戸籍謄本等の必要な資料の収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケースなどが想定されています。

Q遺産分割協議が長引いていますが、先に相続登記をした方がよいですか?

A

 遺産分割協議がまとまりそうであれば上記の⑵のとおり相続登記をすることができます。

 遺産分割協議がまとまらない場合であっても、とりあえず法定相続分で相続登記を行うという従来からある方法も可能です。

 しかし、この方法だと遺産分割協議がまとまった後であらためて登記をしなければならず、費用や手間が余分にかかってしまいます。

 今回、新しい制度として、相続人申告登記を用いることができるようになりました。

 相続人申告登記とは、不動産の相続を知った日から3年以内に、相続が開始したことと自らが相続人であることを申し出る制度です。

 持分などの権利取得を公示するものではありませんが、このような申出と登記を行うことで、相続登記の申請義務を果たしたことになります。

 相続人申告登記であれば、申告をする相続人自身の氏名や住所のみを登記すれば足りるので、他の相続人の所在が分からないような場合でも、簡便に行うことができます。

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